『緋色の刻 巻乃壱』
あらすじ(ネタバレ)
美人・巨乳・良妻と三拍子揃った「悦子」が謎の失踪を遂げて1月が経った所から物語は始まる。多分使用料が格安であったろうムーディーなジャズをBGMに実写の街並みにモザイクをかけただけの繁華街の中、悦子は謎の男に連れられて秘密クラブに出演させられていた。
男達の慰み物にされる悦子だが、嫌がりつつも悦んでもいた。そしてこれはまだ悪夢の始まりでしかなかったのだ……(続編へのフリ)。
(ここからは回想)主婦として平凡に暮らす悦子の家に、ある日突然数人の暴漢が押し入ってくる。悦子の抵抗も意に介さず、男達は悦子を縛り上げ絶大な効果の媚薬を塗り付ける。
例によって男達の慰み物にされた悦子は、夫にこの件を話す事もできず色々な意味で悶々とした日々を送っていた。
そこに再びほぼ同じパターンで押し入る暴漢達。もちろん男達の慰み物に。メロメロになってきた所で次回に続く。
レビュー
こんな低予算作品久し振りに見た。犯られてはメロメロになるを延々リピートするストーリー展開は原作の「山文京伝」のデフォルトだから今更どうこう言う気は無いが、とにかく作画のひどさは凄絶としか言いようが無い。
さすがに伝説のヤシガニほどの破壊力は無いとは言え、少ない線と硬質なタッチでまとまっていてアニメーションと相性が良いであろう山文京伝の原作でここまでヘタレた作画になるとは思わなかった。
デッサンの崩れ様や線の雑さは80年代のアニメ作品を見るようで、しかも80年代の作品と違って動かない。
1枚絵をアップで映して、カメラをパン(スクロール)させることで動画のように見せかけるという初歩的なトリックが頻繁に使われた時はさすがにどうしようかと思った。これを見るなら素直に原作を買った方がいいだろう。何しろ動かないのはアニメ版も原作も一緒だ。
ただ、この異様に垢抜けない古臭さが現代のアニメ作品に無い「味」を持っているのも悔しいが事実。元々山文京伝の絵もその地味さが売りの一つではあるので、こういうのが好きだという救えない人は試しに借りてみるのも良いだろう。買うという選択肢は提示しない。
(※本レビューはレンタル版を基にしている)
(2005/02/28)