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触手

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概要

 広義では
各種の無脊椎動物の、主に口の付近にある、細長くて活発に運動する突起。先端に感覚細胞が多く、いろいろな刺激を感受し、食物を捕える用を兼ねる。ウズムシ・イソギンチャク・ゴカイ・ナマコなどに見られる。
(『広辞苑 第五版』より)
 という扱いになっているが、エロオタク界隈では無論そんな意味ではない
 その定義は非常に曖昧だが、大雑把に(広義の)触手状の形状をして性的行為を行なえばそれが触手と考えられており、時には形状にすら拘らず怪物一般(二足歩行型を含む)や異常進化した機械等も広く「触手」というジャンルに含まれる。
 人外という性質上、人間を陵辱する存在として位置づけられる事が大半だが、これすらも「触手和姦」という対称的なサブジャンルが存在するので絶対の定義とは言えない。
 逆に細分化にも限りが無く、繊毛の有無や形状だけでも無数のバリエーションが考案されている(参考:ゲーム『虐襲』の触手紹介)。

 形状のみならず、触手の魅力そのものについてもファンの間で意見が大きく分かれており、例えば強姦派/和姦派や、快感派/苦痛派といった趣味の違いは挙げていけばきりが無く、クリエイターと受け手の趣味の違いが悲劇を生むこともしばしば。その他では、受胎・産卵シチュエーションの有無、触手自体の知性の有る無しも大きく個人の好みに左右される点として知られる。
 こうした嗜好の不統一はおそらく、触手というジャンルがレイプ・獣姦・異種間交流(性交)・拘束・エログロ・SM・変態プレイ・人体破壊・ウェット&メッシー・催淫効果・ファンタジー・SF・ホラー・スーパーナチュラル・変身ヒロイン・寝取られ・妊娠・出産、等々の別ジャンルを包括的に含み得る(実際に作品毎に含むのはこの内わずかだが)極めて懐の深いジャンルである事に起因すると思われる。
 なまじ「触手」という明快なシンボルがあるために全てひと括りで捉えられがちだが、実際にはこれら全く別ジャンルとして扱われるべき要素がクリエイターの匙加減で混ぜ合わされる(全てをまんべんなく入れるのはおよそ不可能。中には相反する要素さえある)のだから触手ファン全員のニーズを1度に叶えるのは不可能に近いと言えるのだ。

 こうしたユーザーニーズの不統一と、描写に手間が掛かる(手を抜けば巨大なヒモを描くだけで良いとは言えるが、それではユーザーが納得しない。またアニメーションでは人間を動かすのとは別の特殊な動画センスが要求される)事からメーカー側からは敬遠されがちなジャンルである。また触手自体のビジュアルも好き者にはともかく一般的には生理的嫌悪感をそそりがちであり、消費者側にとってもマイナージャンルと言える。
 しかし人によっては極めてピンポイントなジャンルでもあり、ユーザーニーズさえ違えなければ一定の売り上げが見込めるモノとして定期的な供給は行なわれているようだ。
 また、こうした市場の原理からやや外れた所にある同人界隈ではクリエイターが自分の趣味嗜好をストレートに出すのか、触手物が意外なほど多くのシェアを持っている。そのうち良作がどれ程あるかは別として

 ユーザーの嗜好がどこにあるかは前述の通りバラバラだが、その中にあって絶対悪とされるのがいわゆる「寸止め」である。文字通りこれからという所で邪魔が入る(多くの場合、ヒーローが格好良く触手を倒しヒロインを救う)というパターンで、ユーザーニーズから言えば触手のアイデンティティを否定する絶対に有り得ない展開なのだが、製作者側はしばしばこの転倒を起こす。
 理由は「次回へのヒキ」「ヒロインを大切に扱いたい」「触手はあくまでもヒーローにとっての敵・障害と考えている」等、色々考えられるが、何にしろサギだ

歴史

 歴史を遡れば源流は北斎漫画にまで遡る事ができると言われ、さらに怪物姦まで解釈の幅を広げるなら世界各地の神話伝承を祖とする事すら可能だが、さすがにこれは行き過ぎであろう。

 いわゆるオタク文化圏における触手のパイオニアが何であるかははっきりとしていないが、少なくとも初期のエポックメイキングな作品としては前田俊夫の一連のエロ劇画(『うろつき童子』シリーズは特に有名)を忘れることはできない。
 これと前後して爆発的ヒットエロOVAシリーズ『くりぃむレモン』('84〜)にも幾つか触手(怪物)作品があり、エロ漫画方面にも多大なフィードバックを与えたが、やはり前述の漫画を原作としたエロOVA『超神伝説うろつき童子』('87)の抜きんでた完成度がその後の触手物の方向性を決定づけたと言っていいだろう。
(※なお、本稿では煩雑になるのでこれ以降、怪物姦も「触手」に含めて特に注釈しない。現に『うろつき童子』ですら実際に狭義の触手が登場するシーンは意外に少ないのだ)
 この作品のヒット以後『妖獣教室』『淫獣学園』『淫獣教師』『聖獣伝』『淫獣聖戦』『淫夢』等々多くの人気シリーズを輩出し、エロOVAと触手は長い蜜月関係を結ぶのだが、エロOVA市場の規模縮小に伴う作画技術力の低下と、それにも増して『淫獣 ねらわれたアイドル』('98)に代表される寸止め作品の乱発によってメーカー側が自らの首を絞める形でこのブームは静かに終結する('90年代後半)。
 この間コミック・ゲームとも触手物はOVA主導の感があり、突出した作品は少ない。そもそも一部の例外を除き作品規模が小さかったこれらのジャンルでは、絶対的ヒット作自体が中々見込めなかったのだ(逆に言えば、売りという売りでもなくごく地味に登場する、という形では触手の出番は多かった)。
 コミックでは未将崎雄の『獣の列島』('91)、あの長谷川裕一の唯一のエロ漫画『童羅』('93)等が、『うろつき童子』に代表される大河伝奇触手物の系譜に連なる傑作と言えるだろうか。
 また時代は前後するが、掲載誌が少年誌から青年誌に移った途端ジュブナイルファンタジーが触手エロ漫画に変化してしまった野部利雄『ミュウの伝説』7・8巻('87)や少年ジャンプでスライム責めをした萩原一至『バスタード!』2巻('88)等は、当時の少年読者に重大な触手エロトラウマを与えた作品として知られている。
 ゲームではD.O.社の『妖獣倶楽部』('90〜)とその発展形『妖獣戦記』('93〜)シリーズが数少ない大型(?)触手作品として気を吐いた。また、小品ながら『淫獣幻夢』シリーズ('93〜)という触手のグラフィック表現に異常なこだわりを持つ作品を生み出した、リンガーベルという突然変異的なメーカーの存在も見逃せない。
 '90年代後半になると18禁コミック界に大幅な世代交代の波が押し寄せ、当世風の絵柄と触手サーガをミックスした龍炎狼牙の『魔討綺譚ZANKAN(斬奸)』('95〜)が登場。最後の方は物語を語る事に重点が置かれすぎ寸止めどころかエロシーンすら無い有様だったが、それでも長編触手作品として注目を集めた。同じ時期にはメジャー作家なのに妙に触手にこだわる作家、にしき義統も登場している。

 前述の通り'90年代後半は触手人気が徐々に失速し、'99年前後にはまさに触手物の冬というべき不作の時代となるのだが、その一方で市民権を急速に得たインターネット上では、アマチュアの触手小説・イラストが次々に発表されている。当時の商業作品に対する鬱憤と「インターネット上では誰もが創作家になれる」という今では恥ずかしくて誰も言えないような時代の空気が偶然にもうまく噛み合ったのだろう。
 この新しい流れをうまく読んだのか単なる趣味か、新興のライト18禁ノベルシリーズ「二次元ドリームノベルズ」('99〜)が'00年以降やけに触手率を増加。ネット触手小説家として名を馳せた綾守竜樹もこのシリーズから『百姫夜行 神招姫の肉禊』('01)でメジャーデビューを果たしている。
 それとほぼ時を同じくして、起死回生を狙った久々のOVA大作シリーズ『新世紀 淫魔聖伝』('01〜)と『淫獣学園 復活篇』('01〜)がリリースされる。特に後者は結局グダグダになり触手OVAはまた冬の時代に逆戻りするのだが、後の世代への「繋ぎ」としての役割は非常に大きかったといえる。

 '01年前後にはインターネットの普及によってかそれまでと趣を異にする、エロゲーを中心とした新世代のオタク文化が生まれるのだが、この状況の中新参エロゲーレーベル「colors」が『魔法少女アイ』('01)を初作品なのに触手物という極めてチャレンジャブルな形でリリース。処女作だけに至らぬ点も多かったが、容赦の無い触手責めに加え萌えと燃えをミックスした高い作品性を持ち、冬を耐え続けたファンはこの意外な伏兵の登場に大いに熱狂した。
(後にこのcolorsと前述の二次元ドリームノベルズがコラボレートしたゲーム『サンダークラップス!』が登場するのも歴史の流れとして面白いのだが、これは触手ゲームではないので余談になる)
 このスマッシュヒットに呼応する形でエスクードからは『メタモルファンタジー』('01)、トライアングルからは『魔法戦士スイートナイツ ヒロイン陵辱指令』('02)といった触手系作品が立て続けに登場。ちょうど18禁ゲームの大作化傾向が一段落し、1ゲーム1ジャンルという受け皿の整った所に「触手エロゲー」というジャンルがうまく定着した形になり、以降ほぼコンスタントに供給が続いている。
 触手エロゲーが復権を為し遂げた一方で18禁コミックの方はこの時期、市場が長編連載を嫌い、短編を纏めて単行本化する方向に移り始め、「触手づくし」的な作品の存続が難しくなる。ちゃたろーの長寿シリーズ『奈美SOS!』('95〜)は'03年になってもなお新作が発売された限られた例外だが、一般的にはせいぜい「短編集の中に1作触手物が入っている」という触手ファンには物足りないパターンが多い。
 そんな中、メジャー作家である向正義と山京文伝の『銀竜の黎明』('03〜)・『七彩のラミュロス』('03〜)の連載はファンにとっては朗報だろう。前者は触手率が低く、後者はいつまでも単行本が発売されないのだが。

その他

 英語圏では「tentacle(触手の直訳)」として知られ、やはりマイナージャンルとして根付いている。この源流にはSF・ホラーパルプ雑誌の「怪物に搦め捕られる美女」パターンがあると思われるが、直接的に現在の海外オタク文化圏に影響を与えたのは海外版『超神伝説うろつき童子(Urotsukidoji: Legend of The Overfiend)』の一大ヒットであろう。これがために一時期ANIME=HENTAI=TENTACLEという誤った図式が欧米人に刷り込まれてしまったという事例は有名である。

 なお最後に、女性向け作品では男性と性行為を行なう触手も1ジャンルを築いている事を、このサイトの読者にはどうでもいい情報かもしれないが公平を期すために記しておく。
(2005/03/03)

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