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『WORLDS』結城みつる

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(富士見コミックス/富士見出版)2005年08月発売

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 純愛物の皮を被った、ショートカット美少女がたびたびならず者に犯られる作品として連載時注目していたが、なぜか単行本化は難航。史料によれば連載の初出が1998年と言うから、足掛け7年間に渡って発売されなかったことになる。待ちに待って購入した一冊。

あらすじ(ネタバレ)

 女子高生「麻倉祐果(ユウカ)」は、ふと気が付くとなぜかファンタジー世界にいた。さらに気が付けばチンピラ奴隷商に競売にかけられ犯されそうになっていたが、謎の男「ジィオ」に買われ事無きを得る。
 結局その夜ジィオに犯られることになり結果的に大差ないのだが、最初に救われた(実際には相場値で買っただけ)のがことの外高ポイントだったらしくユウカはジィオに速攻で惚れる
 ユウカの使う異世界の言語が通じないジィオは、魔法も使える高級娼館の女主人という非常に便利な姉「ライラ」に助力を請うが、留守をしていたその間にユウカは売り値に不満を抱いていたさっきのチンピラ奴隷商に犯られていた
 なぜかユウカの悲鳴が聞こえた気がしたジィオが取って返したおかげでユウカは攫われずに済んだものの、結局ライラとの交渉は中途半端のまま。改めて今度はユウカを連れて(そもそも最初からそうすれば良かったと思うのだが)ライラを訪れるジィオ。ユウカを新人の娼婦と誤解したライラが犯したりする軽いアクシデントはあったものの、誤解も解けライラの魔法でユウカはいとも簡単にこの世界の言語が使えるようになった。
 言葉が通じるようになっただけで実は特に事情に変わりはないのだが、ますますユウカはジィオに惹かれ、ジィオもまたユウカを愛し始めていた。深い理由は無いが
 一方、いまだユウカに拘る不屈のチンピラ奴隷商は、助っ人の女盗賊「ルウ・ルー」の助けを借りて今度こそユウカを攫う。とりあえず奴隷商に犯されるユウカ。一方ルウ・ルーはサイフを忘れたという理由ノコノコと引き返し、案の定ライラに捕まっていた。体を使った尋問あっさり居場所を吐くルウ・ルー。
 その頃ユウカは、たまたま近所に住んでいた大魔道士「クライス」に助けられていた。再びめぐり逢えたユウカとジィオに、クライスはこの世界にユウカが現われた秘密を解き元の世界に戻すことを提案するが、ジィオ命のユウカはあっさり蹴る
 これでいい。この世界が新たなユウカの故郷になるのだ的な感動的なことを匂わせて完。

レビュー(ネタバレ)

 全編とても7年前の作品とは思えない洗練されたゲーム系アニメ絵でやりまくっているので、抜きマンガとしては非常に高い位置にある。結論から先に言えば買って損なしの名篇だが、それにしてもここまでストーリーがいい加減とは。
 捕まって犯される→助けられて愛のあるセックス→捕まって犯される→助けられて愛のあるセックス→……という無限コンボをくり返していたため、単行本まる1巻かけて実質的に第1話から何の進展もしていないという、近来稀に見るストーリー性の無いマンガ
 ルウ・ルーがユウカのセーラー服に見覚えがあること、セリフの中にだけ登場する「作り物の女」の存在など、伏線らしきものもあるにはあるのだが、完全に投げっぱなしで物語は終わっている。まさか予定上はまだ無限コンボを続ける気だったのだろうか。物語上重要なテーマである「何故ユウカがこの世界に現われたのか」という謎が、「ユウカはジィオさえいれば答などいらなかった」というレトリックによって謎のまま放置されているのには驚かされた。
 もっとも、5話に渡って引っぱった「ルウ・ルーが異常にライラを警戒する理由」が以前にライラの元で働いていた時に娼館の金を持ち逃げしていただけだったり、11話に渡って引っぱり続けた「ライラとジィオの謎めいた関係」が単なる姉弟だっただけだったりというマンガなので、謎が解けたところでガッカリする結果に終わるのは想像に難くないのだが。

エロ見所

 セーラー服ショートカット美少女ユウカはレイプ4回(うち未遂・レズレイプそれぞれ1回)・和姦6回・オナニー1回。
 ショートカット美少女盗賊(ファイナルファンタジー7にこんなのがいたような気がする)ルウ・ルーは和姦2回(うち1回はふたなり魔法を自分にかけたレイラが相手)・尋問レイプ1回。
 お色気お姉さんレイラは和姦2回(うち1回は構成上、途中で中止)。
 以上、出てくる女キャラは全員やっておくという極めて優れた構成になっている。あまりレイプ物を描かない作家だけに、レイプシーンの多さも見所だ(ただし、和姦シーンと比べてあまり情熱を傾けていないのは残念)。
 和姦シーンは女性作家の悪い癖で格好いい男キャラが出張りがちなのがうざいが、基本的に女体を中心に描いているので十分実用に値するものはある。
 クセのない美少女アニメ顔と美巨乳の表現は見事のひと言。後半絵柄がやや変わって周囲から浮くほど乳首がリアルなのは少々いただけないが、全体としては万人向けの絵柄で目立った問題はない。客観的にも主観的にもお勧めの一冊。
(2005/08/07)

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