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『猥褻痴漢日記』如月カレン

DMMにリンク 『猥褻痴漢日記』如月カレン
(イーダッシュ/ビーエムドットスリー)2005年11月発売・溜池ゴロー監督

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 本作はあえてあらすじよりレビューを先に。今の内に断わっておくと、今回の「あらすじ」には面白要素が無いのでこのブログの読者層にはあまり面白くないと思う

レビュー

 驚いた事に、本当にストーリーに見応えがあるAV。
 ある男がバス痴漢の現行犯で捕まり、居合わせた乗客や運転手らと共にターミナルの駅舎に引きずり込まれる場面からストーリーは始まる。本作はこれ以降、回想シーンとエンディングを除いて一切この場所から離れない。一種の密室劇だ。
 警察を呼ぶ前の状況検分で、単純な痴漢のはずだった事件が証言のたびに次第に新たな面を見せていくというAVにあるまじきドラマ性が本作の特徴だ。この構成には映画『十二人の怒れる男』や『羅生門』の影響が見て取れるが、まさかAVのレビューで『十二人の怒れる男』とか書くとは思わなかった
 この徐々に真実が明らかになっていく脚本(松原八雲作)が悔しい事に本当に面白いのだが、ラスト付近の動機付けが少々伏線不足でアンフェアなのが残念。しかしこれ本当にAVのレビューか? ともあれ、本作はエロ方面でもなかなか健闘している。
 ストーリーに無理なくからめつつ、きっちり痴漢物らしい車内本番を描いているのは立派。ただ、どういう撮影上のシバリがあったのか本作では結合部は服や障害物で隠され、さらに挿入の瞬間や射精シーンが省略されている。このあたり顔と体がきっちり見えていれば後は別に良いという妄想派の当サイトでは問題ないのだが、ストレートなエロを望むタイプにはマイナスだろう。
(やや余談になるが、そもそもこの作品の出自が良く分からない。完結したストーリーやモザイクを入れる隙間すらない徹底した局部の秘匿などはいわゆるVシネマ・成人映画のフォーマットなのだが、スタッフ・キャスト(男優含む)はAVでおなじみの面々だ。何より撮影方法が完全にAVレベルの金をかけていない安っぽい手法だ。このレーベルが「AV的現場主義で成人映画を撮る」というスタンスなのだろうか?)
 主演の如月カレンも流行のロリ巨乳の真逆をいく十人並みの美人顔スレンダーという微妙なラインで、今一つタレント性が無いのも惜しい。ある意味ではこの地味な良作にぴったりの配役とも言えるのだが。

エロ見所(ネタバレ)

 ポイントは3点。「1.駅舎内でゆるくレイプされるシーン(想像)」「2.停車した夜のバスの中で、男達にレイプされているシーン(やや短い)」「3.走る(映像上は走ってないけど)バスの中で、乗客が見ている中で男にレイプされるシーン」だ。
 当サイトではむろん3のシーンを推す。
 前述の通り挿入・発射シーンが省略されてしまってはいるものの、乗客が見て見ぬふりをする中で誰の助けもなく男に弄ばれ、最後は後背位で犯られてしまうのはなかなか。派手に泣きわめいたりしないのもソフトレイプ派の当サイトとしては高ポイントだ。
 2のシーンも最初から挿入済みで尺も短いながら、あれよあれよという間になす術も無く犯られてしまうという独特なエロさがあって悪くない。暴漢の一人が常に女優の口内に指をあてがっていて、女優の顔がうまくエロっぽくなっているのもナイス演出だ。

あらすじ(ネタバレ)

 駅舎内に5人の男女がいる。一人は痴漢されたというOL風の女(以下OL)。痴漢の現行犯で捕まえられた挙動不審な労働者風の男(以下労働者)。彼を捕まえたインテリタイプのサラリーマン(以下メガネ)。なぜか警察に通報する前に処断しようと息まくバスの運転手。乗り合わせた気弱そうなサラリーマン風の男(以下会社員)。いったいバスの中で何が起こったのか?
メガネの証言
普段からバスで乗り合わせるたび、あの労働者が怪しいと思っていた。噂では過去にストーカー事件の前科もあるという。案の定痴漢している現場を見つけたので、捕まえてやったのだ。
 おどおどしながらも容疑を否認し続ける労働者。カッとなりつかみかかる運転手を止めたのは、そこに居合わせたベテランの運転手(以下ベテラン)だった。
 ベテランが状況を整理すると、メガネ以外の人間は誰も犯人を見ていないことが分かる。一人ずつ聞いていくうちに、OL・メガネ・労働者は共に仕事上の知人だと判明した。一方、会社員が労働者のカバンを調べて、捕まえられた時は両手がふさがっていたはずだという事を発見する。
 労働者が犯人ではないのか? ベテランは事件当時の各人の立っていた位置を確認する。実際に全員を同じように並べてみると、メガネの位置からは痴漢が見えるはずがないことが判明してしまう。
 一転メガネ相手に激昂する運転手。その様子にメガネは、かねてからOLに入れあげていたが、迷惑そうにしているOLを見かねた労働者に止められた過去を告白した。ではそれを恨みに思ったメガネが冤罪にはめたというのだろうか?
労働者の証言
毎日バスの中で痴漢にあっているのは気付いていた。見て見ぬふりはできない。自分が助けるべきだと思っていたほどだ。
 見て見ぬふりをする連中を糾弾する労働者に、急に運転手が怒り出す。見て見ぬふりの何が悪い、一番悪いのは犯人ではないか、と。
運転手の告白
自分はかつてバスの中で輪姦される女性を見ながら、男達にナイフで脅されて手を出せなかった過去があった。
 苦い過去の経験から、運転手はこの事件の犯人を挙げずにはいられなかったのだ。しかし労働者もメガネも違うと言う。唯一残った会社員は、わざわざ労働者の容疑を晴らしてすらいる。では誰なのか?
 OLは「最初から痴漢にあっていない」と告白した。全部誤解なのだと。しかし、会社員が反論する。
会社員の証言
犯人の顔は見ていないし自分は勇気がなく捕まえる事もできなかったが、たしかにOLは毎日バスの中で痴漢にあっている。それは労働者も証言していることだ。OLは誰が痴漢なのか知っているはずだ。
 しかしOLは痴漢の事実を否定し続ける。誰が犯人なのか? それとも犯人はここにはいないのか? それぞれの正義感から犯人探しをする男達に、OLが遂に自分の秘密を語り出す。
 毎日痴漢にあいながら何もできなかった理由が明らかになった時、一人の男が口を開いた──。

(※本レビューはレンタル版を基にしている)
(2006/02/16)

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